期限の利益喪失(きげんのりえきそうしつ)とは借金の分割払いができなくなることです。住宅ローンなどの借入を利用すると通常分割で返済していきますが、期限の利益を喪失すると分割払いができなくなって「一括払い」しなければなりません。滞納期間や滞納金額が一定以上になると「期限の利益を喪失」する契約内容になっているケースが多数です。
住宅ローンなどの借入時には、決められた期日までに決められた金額を支払う約束をするものです。たとえば「3,000万円の住宅ローンを組み、35年間で分割して毎月末に71,428円ずつ(プラス金利)を支払う」などと定めます。このように「返済を分割払いできること」を「期限の利益」といいます。
ところが借主がローン返済を滞納すると「決められた期日に決められた金額を支払う」という契約に違反する結果になります。いつまでも債務者が支払をしなければ金融機関には不利益が大きくなるので、一定期間滞納が続いたら期限の利益が失われる約束になっているのです。
「期限の利益」が失われると、残っている住宅ローン債務を一括返済しなければなりません。 一括返済ができない場合、債権者(金融機関等)は競売申立てを行い、最終的に家が失われます。
住宅ローンを滞納しても、いきなり期限の利益を喪失するわけではありません。以下で滞納してから期限の利益を喪失するまでの流れや期間を解説します。
① 滞納
住宅ローンを返済期限までに支払えなかったら滞納状態に陥ります。
② 督促
滞納すると、金融機関から支払の督促が来ます。電話がかかってきたり郵便が届いたりします。
機関と協議をして、滞納した住宅ローンをどうやって支払うかを決めます。この時点できちんと支払えば期限の利益は失われません。一方、連絡を無視したり協議が整わなかったりすると滞納期間が長引いていきます。
④ 期限の利益喪失
住宅ローンの滞納期間が半年程度になると、期限の利益を喪失してします。期限の利益が失われるまでの期間は金融機関によっても異なるので、金銭消費貸借契約書などで確認しましょう。
⑤ 一括払い請求
期限の利益を喪失すると、金融機関から一括払い請求が行われます。
以下では期限の利益を喪失してから家が失われるまでの流れをみていきましょう。
① 代位弁済が行われる
住宅ローンで期限の利益を喪失すると、保証会社が金融機関へ「代位弁済」を行います。代位弁済とは、連帯保証人が主債務者に代わって支払うことです。代位弁済されると、これまでの金融機関に代わって保証会社が新たな債権者となります。
② 保証会社から一括請求される
代位弁済が終わると、保証会社から残ローンと利息、遅延損害金の一括請求をされます。
③ 競売を申し立てられる
保証会社からの一括請求に対応しないで放置していると、保証会社は「競売」を申し立てます。競売とは、裁判所を介して家を強制的に売却する手続きです。
④ 家が失われる
競売手続きが進むと、最終的に家は第三者へと売却されます。住居は他人のものになるので、借主が住み続けることはできず引っ越ししなければなりません。競売を申し立てられてから立ち退きまでの期間は半年程度です。
売却代金は残ローンの支払に充てられますが、それでも完済できずに残ったローンは借主が返済していく必要があります。支払いができないので自己破産する方もおられます。
住宅ローンを滞納して期限の利益を喪失しても、「任意売却」を行えば競売を回避できる可能性があります。任意売却とは、金融機関と協議をして不動産を市場で売却する方法です。 任意売却では競売よりも高い価額で売れるケースが多く、裁判所やネット上などに競売情報が掲示されることもないのでプライバシーを守れます。 期限の利益喪失前であっても任意売却は可能です。 ただし任意売却は、競売手続きの「開札日の前日」までに完了しなければなりません。競売が進みすぎると間に合わず競売を避けられないので、住宅ローンを払えないなら早めに着手する必要があります。 住宅ローンを滞納して期限の利益喪失が心配な状況であれば、早めに任意売却の手続きを進めるのが良いでしょう。
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